骨粗しょう症とは

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骨粗しょう症とは、簡単に言うと、骨の量(骨量)が減少し、骨折しやすくなってしまう状態のことです。人間の骨は常に新しく生まれ変わっているのですが、古くなった骨を壊して吸収するということと、新しい骨を生み出すという細胞の働き(新陳代謝)のバランスが崩れることで、発症すると考えられています。

バランスが崩れることの原因の一つに、女性ホルモンの一種であるエストロゲンの低下が挙げられています。エストロゲンには骨の新陳代謝において、骨の吸収を抑制したり、骨の形成を進める作用があります。この分泌量が減ると、骨量が低下してしまいます。そのため、閉経期を迎えた女性に多く見られる症状となっています。

骨粗しょう症自体には自覚症状がなく、そのため放置しておくと、転倒などのちょっとした衝撃だけで骨折する場合があり(脆弱性骨折)、そうすると日常生活動作(ADL)の低下を引き起こし、そのまま要介護となるきっかけとなってしまいます。

主な症状

骨粗しょう症によって、引き起こされる脆弱骨折としては、以下のようなものがあります。

脊椎圧迫骨折
重いものを持つ、くしゃみをするなど、ちょっとしたことでも背骨が押しつぶされたように変形してしまうものです。気づかないこともあり、「いつのまにか骨折」とも呼ばれます。コルセットで固定する保存療法があり、手術が必要となる場合もあります。
大腿骨近位部骨折
転倒や足を捻ることで、太ももの付け根の骨に発生します。治療には手術とリハビリが必要となることがほとんどです。
上腕骨近位端骨折
転んで手をついたり、肩から落ちたりするなどして、二の腕に近い部分が骨折するものです。骨折の程度によって、固定する保存療法を行うか、手術を行うか決定します。その後はどちらもリハビリが必要です。
橈骨遠位端骨折
転んで手をつくなどして、手首の親指側にある骨を骨折してしまうものです。骨折の程度によって固定する保存療法を行うか、手術を行うか決定します。その後はどちらもリハビリが必要です。
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主な検査

骨粗しょう症は、早期に発見し、対処していくことが重要になりますが、自覚症状がないため、ある程度の年齢に達しましたら、一度検査しておくとよいでしょう。特に50歳以上の女性の方は、定期的に骨粗しょう症の検査をすることをお勧めします。検査法としては、以下のようなものがあります。

DXA(デキサ)法
主に大腿骨近位部や腰椎の骨密度を正確に測定するものです(全身に用いる場合もあります)。2つの異なるエネルギーのX線を利用して行います。
超音波法
かかとや脛の骨に超音波を当てて測定するものです。X線を用いないため、妊娠中の方でも測定することが可能です。
MD(エムディ)法
手の骨と厚さの異なるアルミニウム板とを同時にX線撮影し、骨とアルミニウムの濃度の比較によって測定するものです。

以上の他、レントゲン検査によって圧迫骨折などの有無を調べたり、血液検査や尿検査での骨代謝マーカーによって骨の代謝の状況を調べたりする場合もあります。

主な治療

骨粗しょう症の治療では、食事や運動などの生活習慣面での改善による治療と、必要に応じて薬による治療とを組み合わせて行っていくことになります。

食事に関しては、まずカルシウムをしっかりと摂ることが大切です。さらにカルシウムの吸収を助けるビタミンDや、骨を強くする働きを持つビタミンKを含んだ食物を積極的に摂るように心がけましょう。

カルシウムを多く含む食品
乳製品、大豆製品、小魚など
ビタミンDを含む食品
サケ、サンマ、ウナギ、シイタケ、卵など
ビタミンKを含む食品
ホウレンソウ、ブロッコリー、納豆など
  • ビタミンDは、日光に当たることにより皮膚でも作られるので、散歩や窓際で日光に当たるようにしましょう。
  • 他の病気がある場合、気を付けなければいけない食べ物もありますので、詳しくは医師にご相談ください。

また、適度に骨に負荷をかける運動は、骨を作る細胞が活性化し、骨を強くすることができます。ウォーキングなど適度な運動をすることは、骨粗鬆症の予防になります。ただし、すでに骨粗鬆症が進行している場合など、転倒や骨折につながってしまう場合もありますので、こちらも医師と十分に相談の上、医師の指示に従うようにしてください。

薬物療法としては、大きく分けて3つのタイプがあり、以下のようなものがあります。

骨吸収を抑制する薬
女性ホルモン製剤(エストロゲン)やビスフォスフォネート製剤など
骨の形成を促進する薬
活性型ビタミンD3製剤、ビタミンK2製剤、テリパラチド(副甲状腺ホルモン)など
骨の主要な成分となる薬
カルシウム製剤